生意気な後輩はどうやら私のことが好きらしい


「あ、先輩風呂上がり?」


リビングに行くと、テレビを観ていた渚が話しかけてくる。

「そ、そうだけど」

さっき変な妄想をしてしまったせいか、真っ直ぐ渚の方を見れない。

「座ったら?」

そう言われて、私は渋々L字型ソファの端に腰を下ろした。

……なんで、素直に座っちゃったんだろう。

お母さんと日向は一緒にお風呂に入っているから今は2人きり。


「座ったら?」と声をかけてきた渚はそれ以降、何も話しかけてこようとはしない。


仕方なく音楽番組を観ていると、廊下からペタペタと足音が聞こえてきた。


「穂波ちゃん、出たよ」

そう言う日向はきっちりとパジャマを着させられているが、髪はまだ濡れたままだ。

「アイスの前に髪ね。ほら、座って。乾かしてあげるから」

「はーい」

日向の髪を乾かし終えた頃にはお母さんもリビングへと戻ってきて、代わりに渚がお風呂へと向かった。

「穂波ちゃん、渚くんと何して遊んでたの?」

「何もしてないよ。テレビ観てただけ。それよりも、アイス食べるんでしょ?冷凍庫に選びに行こう」

「うん!でも日向は食べるの決めてるよ。いちごのやつ」

「カップのやつね。私は何にしようかな〜」


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