生意気な後輩はどうやら私のことが好きらしい
私もとりあえずリビングへと向かう。
すると、すでに椅子へと腰掛けていた渚。
わ、悪ノリしやがって〜〜!!
隣には日向もいるから逃げられない。
「穂波ちゃんはーやーく!」
日向はそう言うとコンセントの入っていないドライヤーを私に手渡してきた。
はぁ、なんでこんなことになってしまったのか。
そう思いながら、コンセントをプラグに挿す。
「日向が言うから仕方なく乾かすだけだからね」
「はいはい」
そんなやり取りを挟んで私は渚の髪を乾かし始めた。
熱風を当てると濡れた髪が束になって揺れる。
日向の黒くてサラサラとした髪とは違い、軽くてふわふわとした茶色い猫っ毛。
それに触れるたび、鼓動を刻むテンポが速くなる。
近過ぎるその距離に、私は平静を保つのがやっとだった。
「はい、終わり。これ片付けておいてね。おやすみ」
渚と日向をリビングへと残し、一足先に部屋へと戻る。
だめだ。今、絶対顔赤い。
その予感は的中。
鏡に映るのは頬を赤く染めた自分。
こんな顔……もう言い訳できなくなる。
どうにか気持ちを落ち着かせようとしていると、隣の部屋に渚が戻ってきた。
も、もうちょとリビングでゆっくりしてれば良かったのに。