生意気な後輩はどうやら私のことが好きらしい


私もとりあえずリビングへと向かう。

すると、すでに椅子へと腰掛けていた渚。

わ、悪ノリしやがって〜〜!!

隣には日向もいるから逃げられない。

「穂波ちゃんはーやーく!」

日向はそう言うとコンセントの入っていないドライヤーを私に手渡してきた。

はぁ、なんでこんなことになってしまったのか。



そう思いながら、コンセントをプラグに挿す。

「日向が言うから仕方なく乾かすだけだからね」


「はいはい」

そんなやり取りを挟んで私は渚の髪を乾かし始めた。


熱風を当てると濡れた髪が束になって揺れる。


日向の黒くてサラサラとした髪とは違い、軽くてふわふわとした茶色い猫っ毛。

それに触れるたび、鼓動を刻むテンポが速くなる。

近過ぎるその距離に、私は平静を保つのがやっとだった。


「はい、終わり。これ片付けておいてね。おやすみ」

渚と日向をリビングへと残し、一足先に部屋へと戻る。

だめだ。今、絶対顔赤い。

その予感は的中。

鏡に映るのは頬を赤く染めた自分。

こんな顔……もう言い訳できなくなる。 

どうにか気持ちを落ち着かせようとしていると、隣の部屋に渚が戻ってきた。

も、もうちょとリビングでゆっくりしてれば良かったのに。


< 40 / 66 >

この作品をシェア

pagetop