生意気な後輩はどうやら私のことが好きらしい
や、やばい。起こしちゃった。
何の言い訳も考えていなかった私はとりあえず笑ってみる。
「へ、へへっ……」
「まさか夜這いしに?」
渚のはそう言うと私の長い髪を掬い、弄んだ。
「ちがぁぁぁーう!」
私のその声は隣の部屋なんか突き抜けて、隣の家まで届いたんじゃないかと思うほど大きなものだった。
……今日は朝から散々な目にあった。
元はといえば、部屋を間違えた私が悪いんだけど。
「そういえば今日は部活は?」
「体育館使えないから休み」
「どこか出かけるの?」
「別にどこも」
……その言葉どおり、渚はずっと家にいて朝食、昼食と4人でテーブルを囲んだ。
この日の夕方。
自分の部屋で課題を進めていると、突然隣から「痛ッ」という大きな声が聞こえてきた。
な、何……?どこかぶつけた?
「あ、やべ血出てきた」
血!?その言葉に思わず立ち上がる。
だけど、このまま渚の部屋に向えば隣の部屋の声が筒抜けだと言うことがバレてしまう。
でも、そんなことよりも渚の方が……。