生意気な後輩はどうやら私のことが好きらしい


気づくと私は渚の部屋のドアをノックしていた。

「はい」

そう言ってドアを開けた渚の手からはボトボトと血が流れている。

「し、修正テープ持ってないかなと思って。ッテ、ドウシタノ、ソノテ」

少し棒読みだったかな?

でも、これで怪我は偶然知ったってことにできるはず。

「ああ、カッターで切って」

「タ、タイヘン!ば、絆創膏持ってくるから待ってて」

「ふっ、待ってる」


ん、今一瞬笑った?

いや、怪我してるのにそんなわけないか。


リビングから救急箱を持って来た私は再び渚の部屋を訪ねる。

「ほら、見せて。消毒するから」

「ん」

そう言って大人しく差し出された左手を優しく握り、止血を始める。

「うわっ、結構深く切ってる。染みるけどちょっと我慢してね」

「ん」

それから、消毒を行い絆創膏を貼る。


「はい。終わり」

「ん」

さっきから、何その返事?

そう思い渚の方を見ると、耳がほんの少し赤い。

もしかして、照れてたとか?


いや、ないよね。

いつも女の子に触れられても平気そうな顔してるし。

「じゃあ、私自分の部屋戻るから」

「穂波先輩、修正テープは?」

「え…………?修正テープ?」

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