生意気な後輩はどうやら私のことが好きらしい
怪我と喧嘩
渚がうちに来て今日で1週間。
大きな問題もなく過ごせていると思う。
あの筒抜けの声を除けば。
相変わらず毎日のように隣から聞こえてくる独り言。
さすがに毎日毎日、聞いていたらひとつ気づいたことがある。
正直、自分でこんなことをいうのは何だか気が引けるが、どうやら渚は私に好意があるらしい。
あくまでも、好意があるらしい。
なぜなら、渚から直接的な言葉は出ていないからだ。
というか、少なからず私に好意を持ってくれているのならば、どうしてあの日渚は待ち合わせ場所に来てくれなかったのだろう。
このもやもやした気持ちを今すぐ誰かに聞いてほしいのに、すずちゃんは風邪で休み。
帰りにすずちゃんが好きなプリンでも買ってお見舞いに行こう。
そんなことを考えながら、下駄箱に靴をしまっていると遠くから「うわ!血出てきたんだけど」と驚くような声が聞こえた。