生意気な後輩はどうやら私のことが好きらしい
「あれっ、桃沢先輩ってもしかして、渚の知り合いっすか?俺達同クラなんっすよ」
「なっ、渚」と和泉くんは渚の肩を組む。
「穂波先輩は俺の─、「お、同じ中学なの!」
「へーそうなんすか!」
あっぶない。
俺の、なんて言うつもりだったのよ。
「つーか、お前はなんで穂波先輩と一緒にいんの」
「さっきそこで怪我したら先輩が手当してくれたんだよ。ほら、」と言って和泉くんは怪我した部分を渚に見せる。
「へー」
……自分から聞いたくせに、何その興味なさそうな返事。
「用が済んだならさっさと教室行けば?」
「いや、まだ先輩にお礼してないから」
「お礼なら俺がしとくからいいよ」
「は?なんで渚が」
そう言うと渚は突然、私の肩を抱いた。
そして、一言。
「察しろよ」と。
さ、察しろって、何を!?
「なっ、まじかよ。渚が相手じゃ敵わねぇじゃん」
和泉くんはそう言うと、ガシガシと頭をかく。
そして、肩を落としたまま教室へと歩いて行った。