生意気な後輩はどうやら私のことが好きらしい
「穂波ちゃん!プリン忘れてた」
キッチンの隅、あと数センチで触れていた唇。
それをまるで見ていたかのようなタイミングで、走ってきた日向。
「2人とも何してるの?だるまさんが転んだ?」
日向の目には壁に手をついている様子がそう見えたらしい。
「そ、そう!だ、だるまさんが転んだ!楽しいよね、だるまさんが転んだ。あっプリンだっけ。今、用意するね」
もちろん、このままキス。とはいかず、壁から手を離す渚。
私は動揺を悟られまいと、不自然なほど喋り続けた。
もし、あのまま日向が来なかったら私、渚とキスしてたのかな。
避けれなかった、嫌じゃなかった。
渚も誰ともキスをしたことがないと知って嬉しかった。
そんなのもう……。
この気持ちを恋とは呼ばずなんと呼ぶのだろう。