生意気な後輩はどうやら私のことが好きらしい
「そういうのちゃんと守るんだね」
「だって、お父さんの信頼は勝ち取っておきたいじゃん。今後のために」
「今後のため?」
「そう先輩と付き合うため。夜しか行けない場所とかあるし?」
「夜……しか?」
「先輩、今エッチなこと考えた?」
「か、考えてないよ!!」
「俺が言いたかったのは花火とか祭りの話。あっ、あとこれからは他人の世話は程々に。中学の時の奴らも先輩に親切にされたのがきっかけで、気になり始めたみたいだし」
「だから、和泉くんと話してたときイライラしてたの?」
「穂波先輩は無自覚に人を寄せつけるから。まぁ、先輩のついつい世話焼いちゃうところも好きなんだけど。棒読みで俺の部屋にも走ってきてくれたし?」
なんだ、あれにも気づいてたのか。
「ていうかさ、その手出すとか出さないとか言う話は同居中のことだよね?じゃあ、あと3日我慢すればいいだけじゃないの?」
「……先輩は我慢できんの?」
「な、何それ。さっきから人をスケベ呼ばわりして」
「スケベって……ふっ、わかった。じゃあ、俺あと3日我慢するから。同居が終わったらたくさんご褒美下さいね、先輩」
こういうときにだけ敬語を使うこの男は、やっぱりズルいと思う。
「あ、あと先輩。今までの独り言は色々とセーブした、かわいいやつなんで。思春期男子の想像力なめないで下さい」
「ど、どっちがスケベよ!」
私がそう言うと、渚は長いまつげを伏せて笑った。