深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
恭也は言葉を失ったのか、口を半開きにして固まっていた。

「私には関係のないことだから、恭也が何をしようと別にどうでもいいけど。じゃあね」

私はカプレーゼにする予定のトマトをカゴに入れて、恭也に背を向ける。

関係ない……恭也がどんな顔をしようと、気にすることではない。

たとえ、悲しそうな顔だったとしてもだ。

それより、カプレーゼにはチーズが必要だ。チーズはどの辺りの売り場にあるだろう。

顔をキョロキョロと動かしながら進んでいると、恭也に肩を掴まれた。

「さやか」
「もう話すこと、何もないよ」
「俺にはある。言い訳になるけど、聞いてくれないか? 頼む」

すがるような目をする恭也を振りほどけなかった。

「ここで長く立ち話するのは、他の人の迷惑になるから」
「じゃあ、買い物終わってからでいい。外で話させてくれない?」
「えー」
「頼むよ、さやか」

私は、渋々了承した。そうしないと、いつまでも付きまとってきそうだったから。

買い物を終えたら、スーパーの外で待つことを約束して、別々に歩いた。

先に外へ出たのは、恭也だった。レジに並びながら、出ていく彼を目で追った。
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