深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
しかし、なかなかこの計画に賛同してくれる企業が見付からなかった。

そこで、社長である父親は以前から取引のある古谷さんの会社に話をした。古谷社長は新規事業に興味を示し、支援すると言った。

社長たちは元々親交が深かったこともあり、契約はスムーズに進んでいくものと思われた。

だが、どちらの会社からも反対意見があがった。社長たちはそれぞれの懸念事項を解消すべく、契約を先延ばしにした。その頃に、俺は社長から後継者として本社に来ないかと誘われた。

地方支社にいたから、新規事業についての情報は耳に入ってきていなかった。

本社に移動したことで計画に関わるようになり、全容を知り得た。成功すれば、かなりの増収になることは明らかだった。社長は社員が力を合わせて、この事業に取り組むことを期待していた。

本社への異動が決まったタイミングに、さやかと再会した。

交際していた男に浮気された上、振られたさやかはボロボロになっていた。

俺は今までの人生で一番好きだったさやかに会えたことが単純に嬉しくて、彼女を捕らえた。

高校生の時に振られてはいたけれど、その頃さやかも俺が好きだったことを知り、舞い上がった。
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