深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
恭也は白いリボンのかかった紺色の小箱を私に差し出した。

えっ、今どこから出した?

いきなりポンッと出現したように見えたので、目を瞬かせる。

これって、もしかして……。

「開けてみて」

おそるおそる箱を持ち、リボンをほどくが、手が震えてしまう。落としそうになっていると、恭也がフッと笑った。彼は、箱に手を添えた。

「俺が開けるね」
「うん……」

恭也は箱を自分の手に戻し、蓋を開ける。中にはベルベットの白いジュエリーケースが収まっていた。

ドキドキと心臓の動きが速くなる。

ジュエリーケースから目を離せないでいると、蓋が開いた。

「さやか、もう一度言わせてほしい。結婚してください」

恭也からのプロポーズは、二度目だ。一度目は再会したばかりだったこともあり、迷いが生じた。

でも、今はまったく迷わない。別れるまでも別れてからも彼は、私のことをいつも考えてくれていた。

「さやかを一生愛し、幸せにすることを誓います」
「恭也……私もずっと……愛します」

恭也は、ダイヤモンドが光り輝く指輪を私の薬指に嵌めた。
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