深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
休日になり、私たちは実家へと車を走らせた。後部座席には、二つの紙袋が並んでいる。中身は手土産で用意した羊羹の詰め合わせだ。

運転する恭也をちらりと見た。

昨夜、彼の帰りは遅かった。だが、疲れなど一つも感じていない爽やかな顔で、しっかりと前を見ている。

先ほど、母からメッセージが届いた。スマホを膝の上に置いて、恭也を呼んだ。

「ん、何?」
「お兄ちゃんたちも来るみたい」
「そうなんだ。緊張するな」

私には、五歳上の双子の兄がいる。どちらも三年前に結婚していて、それぞれ一歳になる娘がいる。

兄たちを呼んだのは、父だ。

嫌な予感がする。

兄たちは、ちょっと過保護なところがある。恭也に変なことを言わないといいのだが……。

私は普通の家庭に育ったので、実家もごく普通の住宅街の中にある。兄たちも来ているということで、実家の駐車場には、もう車が停められないという連絡も母から届いていた。

少し離れているコインパーキングに停めて、実家まで歩いた。

「ここが、さやかが育った町なんだね。この辺りに来るのは、初めてだから新鮮だな。あそこの公園で遊んだ?」
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