深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
すかさず郁人兄ちゃんが同意する。本当にこの兄たちは、私のことになると、結束がより固くなるのだから……。

そのため、私の希望が通らなかったことがたびたびあった。唯一通ったのは、東京の大学に進学を願ったことだった。あの時は、母が味方をしてくれた。

今回も母には期待していたのに、ちょっと裏切られた気分だ。

仕方ない、自分たちで頑張ろう。

「お兄ちゃんたちが私を心配してくれているのは、わかるよ。でも、これは私の一生のことなの。恭也と共に歩いていきたい。一度手放してしまった未来だけど、恭也は私を選んてくれたの。それが、とても嬉しかったの。だから、私たちの結婚を認めて」

別れを告げたのは、私だった。それでも、恭也は私との未来を諦めなかった。だから、私も絶対に諦めない。

諦めないのは、兄たちもだった。

「結婚は、二人だけの問題じゃないんだぞ。もう三十歳という立派な大人だから、親や家族の同意がなくても結婚できる。だけど、俺たちに祝福してもらいたくて、来たんだろ?」

明人兄ちゃんの言う通りだ。家族からの祝福を望んでいる。
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