深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
「すみません、お兄さんたちは勘違いしています。諦めなかったのは、俺の方です。俺がどうしても、さやかを手に入れたかったんです。二回も振られましたけど、さやかと一緒にいたかったんです。俺は、ずっとさやかが好きなんです」
「は?」

恭也の告白に兄たちは、ポカンと口を開けた。恭也はさらに、必死で訴えた。

「お願いします。結婚させてください。さやかがいない人生なんて……考えられないんです……」

最後の方は声が掠れていて、泣きだすのではないかと心配になった。実際、恭也の瞳は潤んでいたから、涙がこばれ落ちる寸前だったかもしれない。

明人兄ちゃんが動揺して、私を見る。

「さやか……お前、二回も振ったのか? こんなイケメンを」
「うっ、そういうことになるけど、一回目は高校生の時だから、その、かなり前だし……」

責められる内容が変わって、私はしどろもどろになった。

その時、母がポンッと手を叩いた。

「思い出したわ!」
「えっ、何?」

母は突然リビングを出ていき、二階へと上がっていった。響く足音を聞きながら、私たちは首を傾げた。

何事だろう?
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