深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
だからと言って、こんなところで暴露するなんて、ひどい。

穴に隠れたい……どこかに穴はないの?

私はへなへなと座り込んで、頭を抱えた。

父がプッと噴き出す。お父さん、笑い事じゃないよ……。

「さやか、まだまだお母さんには敵わないな。しかし、まあ高校の時にも両想いだったと聞かされたら、もう反対する理由がなくなるな。明人も郁人もそうじゃないか?」

兄たちは呆れ顔で、頷いた。

「反対するのが、バカらしくなってきたよ」
「ほんと、ほんと。成瀬くんがそんなにも、さやかに執着しているとはね」

私は恭也と顔を見合わせて、苦笑した。恭也がいまだ座り込んでいる私のところまで来て、腕を引いた。

彼によって立たされた私は、もじもじと手を擦り合わせる。昔のことを知られてしまい、気恥ずかしくなった。そんな私の肩を恭也は抱き、顔を覗きこむ。

「やっぱり昔も今も、さやかはかわいいな。ますます好きになる」
「えっ!」

家族がいる前での甘い言葉に、顔がボッと熱くなった。

言われたことは嬉しいけど、ここで言われたら反応に困る。
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