深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
だが、恭也の意外な面を見て、反対するのやめた。それが、頼りになるかとうか、またしても不安になったみたいだ。

私の目には、どんな恭也でも魅力的に映る。郁人兄ちゃんには、彼の魅力を完全に理解するのは難しいようだけど。

今は無理でも、これから親しくなれば、良いヤツだと思うようになってくれると期待できると思われる。

それは、郁人兄ちゃんよりも頭が柔らかい明人兄ちゃんの態度から見て取れた。明人兄ちゃんは、慌てる恭也を見て、肩を揺らして笑っていた。

「成瀬くんは、なかなかおもしろいね」
「おもしろいですか……あ、高校や大学の時に言われたことがあります」

恭也は恥ずかしそうに頭をかきながら、返事をした。そんな様子に父と母が笑う。

父が恭也に手を出した。

「これから、よろしくお願いします。さやかを頼みます」

恭也は父の手をしっかりと握って、顔を引き締めた。

「ありがとうございます! こちらこそよろしくお願いします。絶対に守ります」

頼もしそうなイケメン顔ではあったが、瞳はまたもや潤んでいた。

二人が固く手を握り合う横で、明人兄ちゃんが「ああー」と落胆した声を出す。

今度は何?
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