深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
私がニッコリ笑うと、彼の頬は赤みを帯びた。彼は照れくさそうにしながらも、私を自分の方に抱き寄せた。車の中では、不自然は体勢だが。

「撫でられるなんて、子どもの時以来だよ。でも……さやかにされるなら悪くないな」
「フフッ、たまには撫でてあげるね」
「俺も撫でたい」

彼の手は私の頭から頬へと触れていく。温かい手で撫でられるのは、気持ちがいい。目を閉じると温かい唇が重なった。

「ちょっと!」

私は慌てて、恭也から離れた。周囲を気にしながら、助手席に座り直す。

「ここ、外だよ?」
「車の中だよ」

恭也は不満げに口を尖らせた。

外だの中だのと、どうでもいいようなことで言い争いたくはない。私は気を取り直すべく、コホンと咳払いした。

「これから、恭也の実家でしょ? 行こう、遅くなるよ」
「ああ、そうだな。行くか」

彼も気分を変えたようで、エンジンをかけて、ハンドルを握りしめた。

まだ不安要素はある。恭也の実家では、歓迎されるだろうか。また、あれこれ言われるかもしれない。そんな私の不安を感じ取ったのか、走り出す前に恭也が私の手を握った。

「うちは、さやかに会えるのを楽しみにしているよ。だから、何も恐れなくてもいいから」
「そう? 楽しみにしてもらえてるのなら、大丈夫かな」

安堵した私は恭也の実家に到着するまで、穏やかな気持ちで流れていく外の景色を眺めていた。
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