深まり愛～彼は一途な想いを貫く～
みんながニコニコ顔で静かに、私を見ていた。恭也もである……。

ここでは、私が話をするべき場面？　でも、何を？

「あの……ちょっと、恭也」

話す内容が思い浮かばなくて困った私は、肘で恭也をつついた。ニコニコしていないで、何か言って……。

「ん？　つい……さやかがここにいるのが嬉しくなっちゃって」

恭也は首の後ろを触りながら、なぜか照れていた。

いや、そうじゃなくて……。

ますます困っていると、正面から楽しそうな笑い声が聞こえてきた。お父さんとお母さんはうっとりした目で、うんうんと頷き合っている。

「フフッ、お似合いな二人ね」
「ああ、見ているだけで嬉しくなるね」

これまた、反応に困った。結婚すると話してはあると言っていたが、ここで何を話したらいいのだろう。

「ねえ、みんな。さやかお姉さんが困っているの、わかってないの？　特に、兄さん」
「は？　困ってる？」

翔太くんだけが私の心中を察してくれたようだ。なんて、いい子なの！

恭也は私がどうして困っているのか、わからないといった顔をしていた。
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