深まり愛～彼は一途な想いを貫く～
何でも買ってやるで、翔太くんのやる気がアップしたようだ。浮かれ足で「行ってきます！」と出ていった。

その後、お母さんがキッチンへと立ったので、私たちはお暇する頃かなと思い、恭也の袖を引っ張る。

彼の耳に顔を寄せて、こそっと聞いた。

「そろそろ帰る？」
「ああ……うん……」

歯切れの悪い返事をしながら、彼はキッチンの方を見る。

何か気になることがあるのかな？

私もつられて、同じ方向を見た。

すると、トレイを手にしたお母さんがこっちに向かってくる。お母さんからは、緑茶の香りが漂ってきた。

最初に出してくれたのはコーヒーだったが、みんな飲み終えていた。それで、新しく飲み物を用意してくれたようだ。

お母さんは湯飲み茶わんを置き、カップを回収した。

「どうぞ」
「ありがとうございます」

恭也はお茶を淹れているのがわかっていたみたいだったけど、帰るタイミングを逃したような？

カップを片付けたお母さんが戻ってくると、恭也が口を開く。

「さやかの家族との顔合わせを小野田のお父さんが希望しているんだけど、こっちはまた別でやった方がいいよね？」
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