深まり愛～彼は一途な想いを貫く～
「さやかさんのご家族は、うちの事情をご存じかしら？」
「はい、伝えてあります」
「それなら、小野田とさやかさんのご家族で顔合わせしたらいいわ。うちのことは、気にしないでいいわよ」

お母さんの言葉に恭也は安堵してから、お父さんに聞いた。

「父さんもそれでいい？」
「ああ、俺は全然構わないよ。こうして、さやかさんを連れてきてくれただけで嬉しいからね」
「ありがとう」
「そうだ、結婚式もうちは出なくていいからな」
「えっ？　いや……結婚式は……」

翔太くんに言われた時も思ったけど、結婚式について私たちは何も話していない。

挨拶した時に、そういう話も出ることは予想できていたのに、どうして話さなかったのだろうかと今になって悔やまれる。

私は何も考えていなかったが、恭也は考えていたようだ。

言いよどむ彼は、お母さんに目を向けた。やはり、育ててくれたお母さんには感謝を伝える意味で結婚する姿を見せたいのかもしれない。

「恭也、式のことはさやかさんと決めた方がいいわよ。小野田の希望通りにしたら、盛大にやらされるかもしれないからね。あんな式は疲れるだけだから、勧められない」
「うん、わかってる」
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