深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
お母さんが小野田のお父さんと結婚して大変だったことを恭也は承知している。もしかして彼は、一人で悩んでいたのかもしれない。

今お母さんが言ったような式を挙げさせられるのではないかと。

「恭也、私は式をしなくてもいいと思うんだけど」

好きな人と暮らすという憧れはあったが、結婚式に関しては特に夢を抱いていなかった。盛大な結婚式は、準備にも時間がかかるし、疲れることは推測できる。

疲れるための結婚式は、したくない。

「いや、ダメだよ。結婚式はする。俺は、ウエディングドレスを着たさやかが見たいんだ」
「えっ、そうなの?」

私は、驚いた。恭也にそんな願望があったとは、知らなかった。ドレスは確かに着てみたいけど、どうしてもとは思わない。

お母さんがフフッと笑う。

「恭也らしいわ。だったら、二人だけで海外挙式をしたらどう?」

お母さんからの提案に私たちは、顔を見合わせた。

「海外……」
「二人だけで……」
「いいね。さやか、二人だけでやろうよ!」
「うん、そうしよう!」

意見が一致した私たちはハイタッチするかのように、両手を合わせた。
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