深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
良い考えだ。二人だけなら、周りの人間関係に悩む必要がなくなる。

しかも、海外でなんて、ロマンチックで素敵だ。白いタキシードに身を包む恭也は、最高にかっこいいだろうな。

自分がドレスを着るよりも、タキシードを着る恭也が見たくなった。

私たちが喜んでいると、インターホンが鳴った。お母さんが応答する中で、恭也は私の肩を抱く。

彼は私の頭に顔を寄せ、呟いた。

「はあ、なんか肩の荷が下りたよ」
「そうだね、ホッとしたよね」

今日の彼はいろいろと頑張ってくれていた。彼をまた撫でて、癒してあげたくなる。

ちょうど今、お母さんは玄関へ行き、お父さんはトイレへと行っていた。私たちだけしかいないから、大丈夫かな。

彼の頭に手を伸ばそうとすると、廊下から足音が近付いてきた。

慌てて手を引っ込める。残念、今は無理だった。

リビングのドアが開き、私たちより少し年上に見える黒いエプロンをした女性が現れた。

スキニージーンズがよく似合うスタイル良いその女性は、恭也に笑顔を向ける。

「恭也くん、久しぶり!」
「わ、ちかちゃん」

思いがけない人の来訪だったようで、驚いた恭也が私から離れて、立ち上がった。
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