深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
親しそうだけど、誰だろう?

ちかさんという女性は白い薔薇の花束を持っていて、それを恭也に向けた。

「結婚、決まったんだってね。おめでとう!」

恭也は呆然とした顔で、花束を受け取る。

「え、なにこれ……あ、ありがとう」

ちかさんが同じように呆然として座っている私に、視線を移した。

「そちらが奥さんになられる方? このたびは、おめでとうございます」

丁寧にお辞儀をされ、私は立って頭を下げる。

「ありがとうございます」

遅れてリビングに入ってきたお母さんが女性の肩に手を触れる。

「ちかちゃん、座ってちょうだい。今、お茶を淹れるわ」
「あー、ごめんなさい! 私、まだ配達するところがあるんですよ。なので、また来ますね。恭也くん、お幸せにね!」

ちかさんは、サッと片手を上げて、バタバタと玄関に戻っていってしまった。嵐のような人だ……。

そこへ、お父さんがトイレから戻ってくる。

「今、ちかちゃんが来ていなかったか? 声が聞こえたけど」
「ああ……これをくれたんだけど、すぐ帰っちゃったよ。忙しそうだった」
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