深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
花束を抱えたままでいる恭也が答えると、お母さんが私に説明してくれた。

「今の人は近所のお花屋さんの人でね、恭也の彼女にお花をあげたいと頼んだら、お祝いさせてほしいと言われたの。子どもの頃、恭也と仲が良かったから、結婚が決まったことを話したらとても喜んでくれたのよ」
「そうなんですね。きれいな薔薇ですね」

白い薔薇の花束は、あまり見たことがなかった。

意味のある花言葉があるのかな?

答えをお母さんがすぐに教えてくれた。

「白い薔薇にはね、純潔、相思相愛っていう意味が込めらえているのよ」
「相思相愛……」

お母さんは目を細めて、頷いた。

「恭也が話してくれたの。高校生の時にさやかさんに振られたけど、実はさやかさんも自分のことが好きだったんだってと嬉しそうに言うから、相思相愛だったのねと私も嬉しくなってね」

まさか、お母さんにまで私が恭也を振ったことを知られているとは思わなかった。

恭也が恥ずかしそうに、私を見る。

「長年の想いが実ったのが嬉しくて、つい話しちゃったんだ」
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