深まり愛～彼は一途な想いを貫く～
理由が成瀬らしくて、笑ってしまう。成瀬は窓まで行って、手招きした。

「夜景がきれいに見えるよ」

成瀬の隣に並んで、私も外を眺める。泣きながら見た景色とそう大差はないはずなのに、気持ちが違うせいだろう……とても美しく見えた。

「きれい」
「だろ？　右の方も見て。ほら、スカイツリーも見える」
「わあ、ほんとだ」
「今夜は中田に会えて良かった」

成瀬は私の肩を抱いて、微笑んだ。

「うん、私も」

成瀬に偶然会わなかったら、今頃自分の部屋でやけ酒しながら、大泣きしていただろう。

だけど、こんな日に会えちゃうなんてね……人生、本当に何が起こるかわからないな。

私は成瀬の胸に軽く触れて、「成瀬」と呼んだ。優しい眼差しで「何？」と返される。

「私、会社を辞めようと思うの。成瀬と一緒に暮らしてみたい」

どんな生活になるか想像できない。

今は、とにかく環境を変えたいだけだ。

「いいよ、もちろん歓迎だよ。中田のしたいようにしたらいい。俺は一緒に過ごせるだけで嬉しいから」
「うん、ありがとう……」

もうすぐ日付が変わる。

二十代があと少しで終わろうとしている時、私は成瀬の肩に頭を預けた。
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