深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
「マンション? 私の?」
「いや、俺の、というか正確には二人で住むとこ」
「私たちが住むところに、これから?」

次の仕事はまだ決まっていないから、翌日のことを心配をする必要はない。

だけど、今から行かなくてもいいのではないかと思ってしまう。

長時間のドライブになるだろうから、成瀬が疲れてしまうのではないかな。でも、成瀬はこれから帰るつもりだったのなら、変わらないのかも。

「ここから十五分くらいだから、そんな遠くないよ」
「十五分? それって、どこなの?」
「品川。部屋から海が見えるよ。中田も気に入ってくれるといいな。言ってなかったけど、俺は昨日から住んでるんだ」

品川で、海が見えるマンション?
昨日から住んでいる?

成瀬の話がまったく理解できない。
どういうことなの?

大体において、成瀬の仕事は?
地元に勤めていたよね?

「転職したの?」
「いや、本社に異動」
「そうなの? そっか、それで品川……」

なんとか状況が飲み込めてきたところで、車はマンションの駐車場に入った。

私はマンションを見上げて、ポカンと口を開ける。

なんだ、この高さは?  

大学から一応都民ではある。だから、それなりに高いビルには見慣れてはいた。
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