深まり愛～彼は一途な想いを貫く～
苦笑する成瀬は、私の手を引いた。リビングにあるＬ字型の黒いソファに私を座らせて、キッチンへと行く。

冷蔵庫を開けて、振り向いた。

「中田、お酒は飲める？」
「あ、うん。普通に飲めるけど」
「じゃあ、スパークリングワインにしようか。そろそろ食べ物が届くから……あ、来たみたいだな」

成瀬が話している途中でインターホンが鳴った。

エントランスのロックを解除して、数分後にデリバリースタッフの男性が入ってきた。

ダイニングテーブルに手際よく料理を並べて終えてから、出ていく。

成瀬はグラスとスパークリングワインを出して、私を呼んだ。

「こっち来て。食べよう」
「うん……すごいね。成瀬、いつもこういうの頼んでいるの？」

白いテーブルの上に置かれているフレンチ料理は、ここがレストランではないかと錯覚してしまいそうなくらい見た目が美しい。

「いや、今日が初めてだよ。だから、実は緊張してる」
「うそっ！　全然そんなふうに見えなかったよ」
「そのへんのこともあとで話すよ。まずは乾杯しようか」

知りたいことはいろいろあった。でも、せっかくの料理を味わえなくなる内容かもしれない。　　

成瀬が言うように、まずは食べよう。
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