深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
成瀬は背が高く、百八十センチ近くある。そうなると、弟はきっと百八十センチは超えているのだろう。

あの頃幼稚園児だった子がもう高校生だなんて、やはり時の流れを感じる

成瀬も高校卒業してから、いろいろあったに違いない。

こんなマンションに住めるくらいの何かが……。

二人でソファに座り、コーヒーを口に含んだ。成瀬も同じように飲んでいた。

彼は何かを考えるように視線を上に向けてから、私を見据える。

私はカップをテーブルに置いて、告げられる言葉を待った。

「中田はうちの家庭事情、知ってたっけ?」
「成瀬の家のこと? 弟くんと父親が違うとは聞いたことあるけど」

成瀬は幼い頃に両親が離婚して、母親に引き取られた。その後、母親が再婚して弟が生まれた。

年が離れているのを不思議に思った私に、話してくれたのだった

「そう。今の父親は俺の本当の父親ではなくて、本当の父親は……俺が今勤務している会社の社長なんだ」
「えっ……成瀬が働いている会社の社長?」

成瀬は頷いて、ふたたびコーヒーに口を付けた。
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