深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
「えっと、成瀬はお父さんの会社だと知っていて入社したの?」
「いや。知らなくて、偶然だった」
「偶然? それはそれで、すごいね」
たまたま入社した会社の社長が実の父親だったとか……そんな運命みたいなことがあるとはびっくりだ。
驚く私に成瀬は、昔のことから順に話してくれた。
成瀬の両親が離婚したのは、彼が二歳の時だった。その頃の記憶は全然なくて、父親がいない暮らしが当たり前だった。
彼の親権を得るにあたって、母親は養育費や慰謝料などは放棄した。別れる夫との関係を一切なくしたかったからだ。
裕福な生活ではなくても、不自由なく育ったそうだ。成瀬が10歳の時に母親は再婚した。その後は弟も加わって、笑顔溢れる家庭生活を送っていたという。
「就活は思っていたよりも良い結果が出て、いくつかの会社から内定をもらったんだ。その中で一番興味を持ったところに決めたんだけど……まさかだったよ」
「成瀬のお母さんも気付かなかったの?」
「いや、元旦那の会社だとすぐわかったらしい。だけど、今まで連絡を一度も取っていなかったから、ただの社員として働くのに問題はないだろうと思い、俺に言わなかったんだって」
「そうなんだ。でも、どうして……」
「いや。知らなくて、偶然だった」
「偶然? それはそれで、すごいね」
たまたま入社した会社の社長が実の父親だったとか……そんな運命みたいなことがあるとはびっくりだ。
驚く私に成瀬は、昔のことから順に話してくれた。
成瀬の両親が離婚したのは、彼が二歳の時だった。その頃の記憶は全然なくて、父親がいない暮らしが当たり前だった。
彼の親権を得るにあたって、母親は養育費や慰謝料などは放棄した。別れる夫との関係を一切なくしたかったからだ。
裕福な生活ではなくても、不自由なく育ったそうだ。成瀬が10歳の時に母親は再婚した。その後は弟も加わって、笑顔溢れる家庭生活を送っていたという。
「就活は思っていたよりも良い結果が出て、いくつかの会社から内定をもらったんだ。その中で一番興味を持ったところに決めたんだけど……まさかだったよ」
「成瀬のお母さんも気付かなかったの?」
「いや、元旦那の会社だとすぐわかったらしい。だけど、今まで連絡を一度も取っていなかったから、ただの社員として働くのに問題はないだろうと思い、俺に言わなかったんだって」
「そうなんだ。でも、どうして……」