深まり愛～彼は一途な想いを貫く～
何があって、社長がお父さんだと知ったのだろう？

「入社🉂年目に本社で研修があってね。その時に社長との交流会みたいのをして……誰かが俺たちの顔が似てると言ったんだ。それで、名前と母さんのことを社長から聞かれた」

まさかの事実にびっくり仰天だったそうだ。

似てると言われても自分たちではよくわからなかったが、社長がもしやと聞いてきたという。

母親の再婚で今の父親の名字に変わっていたから、すぐに気付けなかったらしい。

「そのあと、社長から個人的に連絡が来て、何度か会って話をするようになった。で、会社を継いでもらいたいと言われたんだ」
「えっ、すごい……」
「まあ……すごいことなんだけどね。でもさ、あまりにも突拍子もないことで、受け入れるのに時間がかかったよ。父親も再婚しているんだけど、今の奥さんとの間に子供を授からなかったんだって。後継者がいないことを懸念していたところに、俺が現れたという感じかな」

成瀬はひと息ついて、ぬるくなったコーヒーを飲み干した。

「つまり成瀬が今ここにいるということは、後を継ぐと決めたということだよね？」
「そういうこと。ここは決意してくれたお礼だと渡された」
「お礼の品がマンション？」
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