深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
「中田さん、ありがとうございます。私もこの子も幸せになります。彼のことも絶対幸せにします」
「勝手にして……」

誰も幸せになれなんて、言ってないどころか願ってもいない。

不幸になれとは思うけど!

「さやか……」と彼が切なげな顔で私を呼ぶ。「なによ?」と返す私の声は小さい。

「本当にごめん。それと、今までありがとう」

何のお礼なのか、理解不可能だ。早くこの場から離れたい。こんな惨めな場にいたくない。

私がフンッとそっぽ向いて立つと、彼は「待って」と呼んだ。

無言で見下ろすと、早口で伝えられた。

「部屋の支払いは済ませてあるから、ゆっくり休んで」

ゆっくり休め?
休めると本気で思っているのだろうか……。
信じられない!

彼が用意した私への誕生日プレゼントをこんな形で受け取ることになるとは、最悪な夜だ。

悪態をつきたくなったが、振り向かずにエレベーターへと足を進めて、ちょうど来た箱に素早く乗り込んだ。

上昇する中で、私の目からは涙が落ちた。それを手の甲で拭い、唇を噛みしめる。

私、振られたんだ……。
どうして……。

二週間前の七夕の日、複合商業施設に設置されていた笹に短冊をぶら下げた。

【これからも仲良しでいられますように】と書いて……。
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