深まり愛～彼は一途な想いを貫く～
ざるそばと天ぷら、あと日本酒を注文した。

お互いのお猪口に日本酒を注いだ。ひと口飲んで、同時に「美味しい」と発した。

私たちは目を丸くして、笑う。

「被っちゃったね」
「絶妙だったな。いいスタートだよ」
「明るい未来になるといいね」
「さやかがいてくれるだけで、輝くに決まってる。今でも世界が輝いて見えるけどね」
「恭也ったら、意外にくさいこと言うのね」

蕎麦屋で言うセリフではないだろうけど、言われると照れる。

こういう場所で言うのが、彼らしい。恭也はグイッとお猪口を空けた。

「意外とは失礼だな。でも俺、今日ものすごく必死になってるかも」
「そうだね、必死に見えるよ」
「恥ずかしい。なんか浮かれちゃうんだよ。今日になるのを楽しみにしてたからかな」

恭也は顎に手を当てて、視線を横にずらした。

その時、ざるそばと天ぷらが届く。箸を持ってから、姿勢を正した。

「私も楽しみにしてたよ。美味しそう！　いただきます」

恭也も微笑んで、「いただきます」と言った。

蕎麦を口に入れたあと、私たちはまたもや「美味しい」と声を揃えた。

恭也とだったら、楽しい生活になりそうだ。

期待に胸を膨らませて、海老の天ぷらを美味しそうに食べる彼を見た。
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