深まり愛～彼は一途な想いを貫く～
恋人
「さやかー、そろそろ起きてー」

恭也の声が聞こえて、一人で寝るには大きすぎるベッドで上体を起こした。

大きく伸びて「おはよう」と言うと、目を細めた彼が私の頭を撫でる。

手を引かれて、リビングへ向かった。

毎日、朝食は恭也が作ってくれる。無職の身としては心苦しいけれど、彼が作りたいと言うからお任せしていた。

慣れない業務で頭が疲れているから、気分転換に料理したいそうだ。

私にとっては、ありがたい気分転換である。

キッチンから、焼き魚と味噌汁の香りが漂ってきていた。

本日は和定食だ。美味しそう！

それを横目で見ながら、早足で洗面所に向かう。素顔を見られるのは慣れてきたが、せめて髪くらいは整えよう。

既にワイシャツを着ている恭也の前に、パジャマ姿で腰を下ろす。

日課になりつつある光景に、私は肩を竦めた。

「こんな格好でごめんね」
「気にしなくていいって、いつも言ってるだろ。ほら、食べよう」
「うん、ありがとう。いただきます！」

私は甘めの玉子焼きを食べて、頬を押さえた。

「んー、美味しい！」
「さやかのその顔を見られるだけで、嬉しいよ」

恭也は微笑んで、サバの塩焼きに箸を伸ばした。

人が作ってくれるご飯を食べられるなんて、贅沢だなとつくづく思う。大根入りの味噌汁を飲みながら、窓の外に目を向けた。

空は灰色の雲で覆われている。
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