深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
願いは叶わなかった。なんて愚かなことを書いたのか……。

私、何に失敗してしまったのだろう。
私の何がいけなかったのだろう。

部屋に戻って、窓から夜景を眺めるが、涙のせいで霞んだ。全然きれいに見えない。

今夜は、素敵な時間を過ごす予定だったのに。

定時に仕事を終えて、急いでこのホテルに来た。お祝いしてもられるからと、髪を巻いて、買ったばかりのワンピースに着替えた……。

私は無駄なことをしたようだ。

もうここにはいたくない……帰ろう。

フロントに行き、急用で帰ることになったと伝えてチェックアウトする。

対応したスタッフの女性は不審そうにしつつも、「ありがとうございました」と笑みを浮かべた。

私は会釈して、くるりと背を向けた。足早に外へ出ようとしたところ、すれ違いざまにスーツ姿の男性と肩がぶつかる。

「わっ……」
「あ、すみません」
「あれ? 中田?」

サッサと通り過ぎようとしたけれど、名前を呼ばれて足を止めた。

まじまじと相手の顔を見る。同じ年齢くらいの男性が二重の目を見開いていた。

かっこいい人だけど、誰だっけ?

なんとなく見覚えがあるような……。

「中田さやかだよね? 俺、成瀬(なるせ)! ほら、同じ高校だっただろ?」
「成瀬……え、成瀬?」
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