深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
元カレの話はしたくないから、話題にはしない。

恭也もたぶん、同じように思っている。

「うん! 我ながら美味しくできた」

私もグラタンを口に入れ、笑顔を見せた。楽しく食事できるのが、理想だ。

「明日さ、映画観に行かない?」
「いいね! あれ? それが、今朝言っていた大事な話?」
「いや、大事な話は別だけど……さやか、観たい映画ある?」
「特にないけど、今何やってるかな? あとで一緒に調べようよ」
「そうだな」

大事な話を後まわしにされてしまったけど、初めての映画デートが楽しみだ。

彼が何を好むのか、知りたい。恭也のことは、どんなことでも知りたくなる。

「映画観たあと、どこか行く? 恭也、他にしたいことある?」
「さやかといられるなら、何でもしたいけどね。さやかは行きたいところ、ある?」
「今日、面接帰りにおしゃれなカフェ、見つけたの。そこ、行きたい」
「いいよ、行こう。どんな感じの店?」

私は「あのね」とカフェの説明をした。既にネット検索したから、メニューも把握している。

恭也は楽しそうに聞いてくれた。話が弾む食事は、自然と笑顔になれる。

明日はデートだとワクワクした。
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