深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
心臓はドキドキしているけど、平静を装い、恭也の手を取り、指を絡めた。それから、顔を近付ける。

形の良い唇に自分の唇を重ねる。

その瞬間、恭也の空いていた手が私の後頭部を押さえる。

うっ……離れられない。

恭也は舌を出して、私の唇を濡らした。隙間を作り、舌を滑り込ませる。

お互いの下が絡まり、深いキスへと変わっていく。

やばい、気持ちいいかも……。

脳内がとろけていった。

気付けば、体勢は逆転していた。私は彼の上にいたはずなのに、下になっている。

熱のこもった瞳から逃れられない。何をされても受け入れる覚悟はできているが、気恥ずかしくなる。

目を逸らそうとしたとき、愛を囁かれた。

「さやか、好きだよ」
「うん……」

同じ気持ちを伝えようと思うのに、声になって出てこない。

「さやかも俺のこと、好き?」
「うん」

恭也が求めている返事は推測できるのに、言えなかった。

恭也はそんな私に要求する。

「好きなら……言ってよ」

そうなるよね……。

恭也は愛しそうに私の頭を何度も撫でた。恥ずかしいと頭で考えては、ダメだ。

ちゃんと伝えよう。

私が言うのを待っているのだから……恭也の首に手を回した。

彼は軽くキスを三回して、濃いキスへと進んでいく。
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