深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
待ちきれなくなったようで、脇腹から手が登ってきた。

「抱きたい。抱かせてくれる?」
「もしかして、大事な話って」
「うん……そろそろ確認させてほしいなと思ってね。でも、言えなくて、今になった」

ちょっと情けなさそうに言いながらも恭也の手は、胸までやってきていた。

形を確認するかのように動かされて、体は火照っていく。

受け止めるのに必死になる私の気持ちは、単純だった。

もっと、もっと、熱くしてほしいと思った。欲望の赴くままに求めてほしくなっている。

言葉にしなくても感じ取ったのか、恭也は私の体をとことん愛撫した。

「ああっ! あ、待って……ちょっ、やあー!」

どんなに抵抗しても止まらなかった。本気で拒んではいなかったけれども。

呼吸が乱れていたのは、私だけではない。恭也の息も荒かったし、激しく動く中で辛そうな声も聞こえた。

同じように感じてくれるのが嬉しくなる。この瞬間こそが二人だけの世界になっていた。

今は恭也しか見えないし、抱かれることで幸せを感じていた。

私たちは、ほぼ同時に絶頂に達した。

ぐったりとした体で、息を整える。

恭也の方が体力があるのだろう。呼吸が落ち着くのが私よりも早かった。

体を鍛える時間がいつあったのか、私は知らない。
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