深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
特に鍛えるようなことはしていないのかもしれない。でも、引き締まった体をしている。 

汗ばむ恭也の胸に手を置いた。その手を握られた。。

「さやか……」  

呼ぶ声は掠れている。

「……ふぅ……な、に?」

返す声は乱れた。

体力が限界だった。きっと、運動不足のせいだ。

「気持ち良かったよ。さやかは?」
「うん……私も良かった……」

照れくさくなる。

「さやか、めっちゃ色っぽくて、ヤバかった。あんな顔で、あんな声出されたら、たまらない」
「な、何言ってるのよ」

こんなピロートーク、恥ずかしくて、続けていられない!

いつまでも密着しているのが良くないかも。

恭也から離れて、背を向けた。

「さやか、逃げるなよ」

すぐに捕まる……。

背後から抱きしめてきた恭也は、回してきた手で私の胸を触った。

「ずっと触っていたい」
「んっ、もう……」

落ち着きかけていた心臓が、ふたたび暴れ出す。

「もう一回させて」
「えっ……うん……」

体に力が入らないが、甘い要求を拒む理由が見つからなかった。私はなんとか体を半回転させて、恭也と向き合う。

彼の熱はまたあがり、下がっていた私の熱も急上昇させた。

程よい疲れの中で眠りについた私たちが目覚めたのは、翌日の正午近くだった。
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