深まり愛～彼は一途な想いを貫く～
カフェは満席で、私たちの前に二組の客が待っていた。

だが、ちょうど帰る客が続いて、あまり待つことなく案内される。

カフェは二階建てになっていて、一階では焼き菓子が販売されていた。

案内された二階の窓際の席から、外を眺める。

前の通りを行き交う車や人が見えた。珍しくもない日常の光景ではあるけれど、心が和むのはカフェの雰囲気が穏やかだからだろう。

ランチプレートを注文して、横に目を向ける。先ほどから視線を感じていたのだ。

大学生くらいの女性二人が私たちをチラチラ見ながら、話している。小声のつもりのようだが、ハッキリとした会話が耳に届いた。

「あの人、かっこいいね。一緒にいるきれいな人、彼女だよね？　絵になるカップルで羨ましい」
「うんうん、なんか映画のワンシーンみたいだよね！」

恭也は確かにかっこいいけど、私もセットにされていて恥ずかしくなる。

その会話は恭也にも聞こえていて、肩を震わせていた。

「映画のワンシーンって……クックッ」

恭也の声はちゃんと小さかったから、私にしか聞こえていない。しかし、その様子は見られていた。
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