深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
「見た? 笑った顔もかっこいい」
「何を笑ったんだろう」
「きっと彼女が楽しいことを言ったんだよ」
「仲良さそうだよねー」

料理が運ばれてくるまで、その二人の話は盛り上がっていた。おかげで私たちは小声で話すしかなかった。

「俺たち、どんなカップルに見えてるんだ?」
「恭也、外見がいいものね」
「なんか外面だけがいいと言われてるみたいだけど」
「外面というか喋らなれば、いい男よね。高校生の時も言われてたじゃない」

私はどんな恭也も好きだったけど……と、心の中で、ひと言足した。

恭也は不服そうに眉根を寄せる。

「それ言われたことあるけどさ、褒められてないよな?」
「親しみが込められていると思うよ」
「親しみか、そうか?」
「私は、そういう恭也が好きだったよ」

今度は心の中ではなく、言葉にして伝える。

恭也の表情が一瞬にして変わる。

「昨夜は言ってくれなかったのに、過去形なら言えるの?」
「え、あ、過去形じゃなくて、今もちゃんと好きだよ」

より小さい声になったが恭也は聞き逃さず、嬉しそうに微笑んだ。

「嬉しいな。さやかと両想いで付き合えるなんて、まじ奇跡だ」

「そっか、奇跡なんだね。いいね、奇跡」
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