深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
「泊まる予定にしていたんだけど、予定がなくなったから……」
「予定がなくなった? あ、じゃあ、一緒にご飯食おうよ。俺もさ、会食が中止になったんだ。で、ここのレストランで食べるか外で食べるか迷っていたところ」

私のなくなった予定と成瀬のなくなった予定は、全然違う。

一緒に食事……申し訳ないが、今の私は思い出話に花を咲かせる気分になれない。

「ごめん。私、帰りたいから」

成瀬から離れようとしたけれど、「中田」と腕を掴まれた。

「なんか辛いこと、あった? 泣いた?」

私は涙の跡が残っているのかと、手で頬を触る。

「目、赤いよ? 無理に誘わないけど……なんか今、中田を一人にしたくない。話したら、楽になれるかもしれないから……俺で良ければどんな話でも聞くし。あ、でも、ごめん。話したくないこともあるよね? でも、心配で……あー、いや、俺、何言ってるんだ……」

焦っている様子の成瀬を前にして、私は口もとを緩ませた。

なんだか肩の力が抜けてしまう。

「ほんと、何言ってるのよ?」
「だって、せっかく会えたからさ。今がチャンスかなと思って」
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