深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
「さやか、送るよ」
「うん、ありがと!」

恭也は業務の関係で、出勤時間が定まっていない。

私の出勤時間と合う時には、車で送ってくれる。満員電車より車の方が快適なので、非常に助かっていた。

食べ終えた食器を食洗機に入れて、お互い身支度を整える。

先にパンプスを履いた私は、恭也のネクタイに手で触れた。

「恭也、少し曲がってる」
「お、サンキュ」

彼は爽やかな青系のネクタイがよく似合う。今日も青色ストライプ柄だ。

恭也は本当に見た目が良い。中身ももちろん良いが、人に会うことが多いので外見から受ける印象に気をつけているそうだ。

「うん、今日も良い男だよ」
「なんだよ、朝から」
「自信を持たせようと思って」

昨夜、仕事から帰った恭也は疲れていた。

恭也の頬に触れようと手を伸ばすが、触れる前にその手を掴まれた。

そのまま引かれて、ギュッと抱きしめられる。

「めっちゃ、愛おしくなることしてくれるね」
「だって、好きだから」
「俺も好きだよ」

私も恭也の背中に腕を回す。ずっとこのままでいたいけれど、いつまでも抱き合っていられない。

彼の背中をポンと叩いた。
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