深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
「本気なの?」
「もちろん。あの時も結婚したいくらい好きだったから、気持ちを伝えた。今も結婚したいと思えるのは、中田だけだよ」
「付き合ってる人、いないの?」
「いないよ。いたら、こんなふうに抱きしめない」

どう答えたらいいのかと、迷った。

「えっと、あの……」
「聞きたいこともあるから、とりあえず場所を変えよう。いいだろ?」
「うん、そうね」

多くの人が行き交うロビーで、密着する私たちは目立っていた。周囲の人の視線が痛い……。

成瀬は、私の手を逃さないといったふうにしっかりと握った。

私たちはホテルの外に出て、近くのイタリアンレストランに入った。真夏だというのにネクタイを締めていた成瀬は、それを外して、ワイシャツの一番上のボタンを外した。

オーダーしたパスタセットが届くと、成瀬は無言で食べ進めていく。

食べるスピード、速いな。そんなにお腹空いていたのかな。

パスタをフォークに絡めた状態で、ぼんやり見ていると、不意に成瀬の動きが止まった。

「どうした? 食欲ない?」
「ううん。成瀬の食べっぷりを見ていた」
「なんだよ、それ。恥ずかしいな。昼が少なめだったから、めっちゃ腹減っていてさ」
「そっか……美味しいね」
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