深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
別れ話で揉めているカップルの席に来るのは、気が引けたであろう。

ブラック派の恭也が珍しく砂糖を入れていた。私は砂糖の他にミルクも加えて、スプーンでかき混ぜる。

納得させるために頑張っていたが、彼に押されていた。どうして別れたいのか、伝わらないと向き合って話す意味がない。

別れると決心して、彼と住む部屋を出たのに。

スプーンをソーサーに置き、口を開いた。

「苦しいの……」

カップに息を吹きかけていた恭也の動きが止まる。コーヒーを飲まずに、カップをソーサーに戻した。

心配そうに私を見た。

「えっ、どこが?」

今、体調が悪いのかと思ったようだ。

「私が恭也の足手まといになると思うと、胸が苦しくなるの」

彼は「そっちか」と一瞬安堵したけれど、また険しい表情になる。

「足手まといになんか、ならないよ。それどころか、さやかがいてくれるだけで、俺の力になる」
「今はそう思っていても、いずれ壁に突き当たるよ」
「そんなの、ぶち壊す」

本当に頼りになるなと、感心させられそうだ。

「私、邪魔な存在になりたくないの」
「さやかが邪魔になるわけない」
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