深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
それか、恭也の気持ちが変わらないうちにと周りが急かしているのかも。古谷さんと向き合うようになれば、私のことは忘れるだろうと……。

自分から離れたくせに、忘れられると思うと悲しくなる。

恭也は優しいから、古谷さんのことを大事にするだろうな。私よりも、きっと……。

ランチのあとは買い物しようと考えていたが、そんな気分ではなくなった。早足で、部屋に戻った。ベッドに横たわり、目を閉じる。

何も考えたくない……二人が並ぶ姿を想像したくない……恭也があの人に触れるところなんか……。

じわりと浮かんできた涙を手の甲で拭った。泣くな……泣いてもどうにもならないのだから。

どんな気持ちを持っていようとも、一人で乗り越えないといけない。

やっぱり、実家に帰ろうかな。

ここにいると、会いたくない人に会うこともある。恭也の近くに住んでいても、何の役にも立たないし。

でも、でも……あー、どうしたらいいの?

時間が解決してくれるまで待てばいいの?

あれこれ考えていたら、いつの間にか、夢の中に入っていた。

薄暗い部屋の中で、鳴動しているスマホを探す。
< 95 / 176 >

この作品をシェア

pagetop