深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
誰からなのか表示を確認しないで、応答した。

「はあい?」
『さやか? 寝てたの? まだ夕方よ」
「あ、お母さん……」
『彼氏と別れたからって、のん気ね』

母には誕生日に振られたこと、恭也と暮らすようになったこと、恭也と別れたことなどを報告していた。なので、私の荷物の保管を頼んだら、あっさり了解してくれた。

『男運がないわね』とは言われたが。

『ところで、お見合いしない?』
「は? 誰が?」
『さやかに決まっているでしょ? 案外お見合いの方がうまくいくかもよ』
「お見合いなんて、したいと言った覚えないんだけど」
『希望を聞いているんじゃなくて、どうかと提案しているのよ。良いお話があるのよ』

母が言う良いお話というものを聞いてみた。

私の婚期がまた遠のいたと、母が母の姉に嘆いたところお見合いをしないかと言われたそうだ。母の姉は知人から、良いお嬢さんいないかしらと相談されていたらしい。

そこで、さやかにどうだろうとなったとか。

相手は公務員で、真面目な方だという。

「相手がどんなに良い人だと勧められても、まだそんな気分になれないから」
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