深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
さっきまで恭也を想って泣いていたのだ。そんな私が他の男性のことなんて、考えられない。

『どうしてよ? 良い話だと思うのよ』
「とにかく私にはその気がないから、他の人を探すようにしてもらって」
『ふう……わかったわ。でも、お見合いしたくなったらいつでも言ってね。探してあげるから』
「ん、その時は頼むよ」

いつがその時になるのか、まったく予測できない。恭也を忘れることができたら……その時が来るかな。

通話を終えて、ベッドから降りた。空は日が沈んだばかりで、まだオレンジ色の部分もあった。

カーテンを閉めてから、冷蔵庫を開ける。ただ横になっているだけでも、お腹は空く。

でも、買い物しないで帰ってきたから、食材が少ない。

夜も外食では、お財布が空になってしまう。

顔を洗い、メイクを直して、外に出る。街は夜らしい色になっていた。散歩がてら、少し離れたスーパーまで歩いてみる。

前から気になっていたスーパーだったが、初めて入った。野菜の種類が豊富なことに驚きながら、ミニトマトをカゴに入れた。

あ、こっちのトマトはカプレーゼにするのに良さそう。カプレーゼ作ったら、ワインが飲みたくなる。
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