深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
途中で言葉に詰まった私に、恭也は不思議そうな顔をした。

「ん? 自分で作ったの?」
「ううん、あの、カフェでね。それで、そこで……」

古谷さんと会ったと話そうかと思ったけど、言いにくい。

明日、二人は会う予定になっている。そこで、古谷さんが私と偶然会ったことを話すかもしれない。

その時に恭也が知っていると言ったら……別れたのに、会っているとあらぬ誤解をされてしまうかも。

「カフェで食べたんだね。で、何かあったの?」
「明日、古谷さんの家と食事をするんだってね」

私から古谷さんのことを言われるとは、予想していなかっただろう。恭也は目を見張って「は?」と言った。

「カフェで偶然、会ったの。結婚の話、順調に進んでいるみたいだね」
「順調じゃないよ」
「でも、両家で会うほどまでになっているんでしょ? お父さん、喜んでいるでしょうね」

ちょっと嫌味な言い方になってしまった。

だけど、私と別れてから十日しか経っていないのに、結婚に向けて進んでいると聞かされた。だから、嫌味の一つも言いたくなるものだ。
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