フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜
「嬉しいなぁ、相崎さんとクレープデート」

「デートじゃないでしょ、試食要員」

「何でもいいよ」

結局断りきれなかった私は、藤君と江南君の三人でクレープ屋さんへと向かってる。

付いてきてくれなかった華をちょっと恨んだけど、クレープは好きだしタダで食べさせてもらえるらしいからまぁいいか、という結論に至った。

それにもしかしたら、クレープ屋で恋愛フラグが立つかもしれないし。誰かにぶつかってクレープ落として、あっごめんなさい…いや、大丈夫…いやでもなにかお詫びを…みたいな。

なにもフラグは学校内だけじゃないわけだし、恋を見つけるにはなにごとも積極的にいかないと、だ。

「ていうか隅田さん、彼氏居たのかぁ」

私の少し前を歩きながら、唐突に江南君が呟く。

「ねぇ相崎さん。隅田さんの彼氏って、同じ学校のヤツ?」

「うん、一組の一ツ橋君だよ」

「ああ、あの爽やかっぽいヤツか。そりゃそうだよなぁ、隅田さん可愛いもんなぁ」

江南君は、華が気になってた感じなのか。

「残念だったね、ドンマイ」

「相崎さん、それ励ましてくれてる?」

「もちろん」

「そうは聞こえない言い方なんだけど…」

「そう?気のせいだよ」

「相崎さんは、彼氏居ないの?」

不意に、藤君が口を挟んできた。

「私はいないよ」

「じゃあ好きな人は?」

「今探してるところ」

真面目に答えたのに、藤君は噴き出した。

「好きな人って探すものなの?」

「さぁ、今探してる最中だからまだ分かんない」

「相崎さんって変わってるよね」

「大人しいタイプかと思ったけど、話すとウケるよね相崎さんって」

藤君だけじゃなく、とうとう江南君まで私をディスりはじめたから、ジトッと二人を睨んでやった。
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