フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜

なんていう夜の出来事も、三日経てばすっかり忘れていた。

それを思い出したのは、

「あ、お前あの時のヤツじゃん！」

ウチのラーメン屋で、まさかの再会を果たしたからだった。

「だよな？俺間違ってないよな？」

明るい場所で見ると、金色の短髪が更に目立つ。耳にもいくつもピアスが光ってて、やっぱりザ・ヤンキー臭半端ない。

の割にあんまり怖いと感じないのは、ニカッと笑う笑顔がなんというか人懐っこい感じだからかもしれない。

「なにお前、ここでバイトしてんの？」

一人で入ってきた彼は、私が今立ってる対面カウンターの真ん前にドカッと腰を下ろした。

「にしてもこんな偶然、なんかヤバくね？」

「いや別に」

「あれ美味かったぜ、サンキューな」

この間たった数分会話しただけなのに、仲良しの友達に会ったかのようなテンションの高さ。私はないコミニュケーション能力の持ち主らしい。

「あ、チャーシュー麺とチャーハンのセットな！ラーメンは大盛りで」

「はい」

「ここでバイトしてるってことは、やっぱ家この辺なの？あ、俺はちょい前に引っ越してきたんだけどさぁ」

「はぁ」

「小夏、友達か？」

鉄鍋を振りながら、お父さんが私に話しかける。

「いや、友達ってわけじゃ」

「お前小夏っての？なんかそんな感じするな！」

ちょっとタレ目の彼は、やっぱり笑顔が人懐っこい。マシンガントークされて若干引いてるけど、誰にでもこんな感じなんだろう。